御承知のとおり、熊本市において
就業別労働人口で比較しますと、卸売、小売、医療、福祉などを中心に、
サービス産業である第三次産業が全体の8割を占めていることから、労働者の最低賃金を底上げし地域での
消費マインドを向上させることは、当然ながら地域経済全体の活性化に大きく寄与します。そして、そのことでまた労働者の賃金上昇につながる。まさに理想的な資金循環が形成されるものと考えます。
そこでお尋ねします。今回の予算編成において、特に地域経済の活性化や市民所得の向上につながる政策をどのように盛り込み進めようとされているのでしょうか。大西市長のお考えを、わかりやすくお聞かせください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 地域経済の活性化と市民所得の向上については
密接不可分の関係にありまして、賃金の底上げや個人消費の拡大、生産性の向上による企業収益の増加、さらには交流人口の増加による消費喚起などにより、
地域経済活性化の好循環がもたらされ、そのことが市民所得の向上につながっていくものと考えております。
これまでも、熊本市しごと・ひと・
まち創生総合戦略に基づいて、
経済活性化、市民所得の向上につながるさまざまな
具体的取り組みを展開してきたところでございます。新年度におきましては、人材の還流、確保をさらに進めますため、就業や創業支援とセットとなった東京圏からの
移住促進事業の展開や、創業時からの一定期間に助成を行う
起業家支援など、新たな取り組みを進めてまいります。
また、10月以降、2つの
国際スポーツ大会や
熊本城特別公開、
熊本城ホールの開業と続くこの機会を
交流人口増加への好機と捉え、熊本城を中心に据えた
誘客プロジェクトの展開など、本市の持つ観光資源を生かしたにぎわいを創出してまいりたいと考えております。
このような視点から今回、必要な予算を計上したところでございまして、これらの取り組みを将来へ向けて強化、継続していくことで、地域経済のさらなる活性化、市民所得の向上につなげてまいりたいと考えております。
〔28番
倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 ありがとうございました。市長の
マニフェストにも掲載されています。市民生活の向上のために努力を重ねていただけるという御答弁でしたので、少し安心した次第であります。
次に、
国内プロモーション経費についてお尋ねさせていただきます。
これまで大西市長が、議会冒頭での
提案理由説明や
全員協議会での提出議案の概況説明、さらには記者会見などで再三再四述べられているように、市制施行130周年に当たる新年度は、
ラグビーワールドカップや
女子ハンドボール世界選手権などの
国際スポーツ大会の開催、桜町再開発事業や
熊本城天守閣の外観復旧の完成、新しい市民病院や
熊本城ホールのオープンなど、本当に
ビッグイベントが
めじろ押しであります。また、その後に控えている熊本の陸の玄関口である熊本駅前広場の整備やJR九州による駅ビルの建設、
全国都市緑化フェアや
アジア太平洋水サミットなどの準備も本格的に着手していかねばなりません。まさに新年度の取り組みの成否が将来の熊本市を左右する極めて重要な年度となると言っても過言ではありません。
私は、これらの
ビッグイベントや重要事業の完成を、一過性のものではなく将来の本市の発展につなげていけるかどうかは、ひとえに今後の
プロモーション活動、そこにかかっていると考えています。
これまでの本市の
プロモーション活動を拝見しますと、観光部門、環境部門、農水・産業部門など部署ごとに、それぞれの素材、内容でアピールしており、正直言って熊本市として、何に重点を置いて発信したいのか、全くばらばらで意図がわかりません。熊本市が全国から、そして世界から選ばれる都市となるには、その豊かな素材を生かす発信力の強化と
トータルコーディネートが必要不可欠のはずであります。
多くの地方都市が、人口減少、産業衰退、広げ過ぎた市街地の縮小などに悩んでいます。そのような中、福岡市はというと、人口増加、産業集積、密度の高い都市機能を実現している希有な都市であります。どのようにして福岡市は地方最強と呼ばれる都市になったのか、私なりに調査させていただきました。そして、戦略的な情報発信、それを担うことができる市役所の組織体制、そこに熊本市との大きな違いがあるとの結論に至りました。
福岡市役所の組織体制は、市長直轄の市長室の中に
広報戦略室があり、この
広報戦略室は、
広報戦略課、広報課、報道課の3つの課で構成され、市が保有するさまざまな情報を総合的に企画調整しつつ、戦略的に発信できる充実した組織体制となっています。一方で熊本市は、
観光政策課の中に
シティプロモーション担当がありますが、熊本市全体をプロモートするような役割が果たせていません。
また、広報課は、
市長記者会見や報道対応、あるいは市政だより、ホームページなどを担当していますが、これも残念ながら市民向けに市政の情報を伝えるにとどまっています。新年度予算において
国内プロモーション経費が計上され、政策局で担当されるようですが、私は福岡市の例のように、まずは熊本市全体の広報戦略を立て、これに基づいてそれぞれの部局で熊本市を売り出していくといった、いわば
プロモーション活動の
総合プロデュースを行う部署を明確に設置することこそが必要であると考えます。そして、その任を担うのは、広報課はもとより、
東京事務所や国際課を所管し、また市の政策を総合調整している政策局が所管すべきではないのかと考えています。
そこでお尋ねいたします。市全体の広報戦略の策定と
プロモーション活動の
総合プロデュースについてどのように考えられますか。また、新年度予算に盛り込まれている
国内プロモーション経費に関しては、市長が
マニフェストで、在京の
熊本出身者とのつながりによる情報収集に努め、先進的かつ独創的な取り組みを展開し、
東京事務所を中心に熊本と東京の
ネットワークを強化するのだと、その意気込みを掲げられておりますが、ぜひこの事業の
具体的内容についてお聞かせください。
この2点については、あえて政策局長に答弁をお願いいたします。
〔
古庄修治政策局長 登壇〕
◎古庄修治 政策局長 平成31年度当初予算に関連しまして、
国内プロモーション経費に関連した2点のお尋ねにお答え申し上げます。
まず、1点目の市全体の
広報戦略策定と
プロモーション活動の
総合プロデュースについてでございます。本市では、今年度から全庁的な広報広聴改革に取り組み、
先進地視察を初め本格的な検討を行ったところでございます。その結果、全国では
政令指定都市の半数以上が専門の担当部署を置き戦略的な
自治体PR活動に取り組んでおり、議員がお述べになりましたように、本市においても、そのような戦略的な
プロモーション活動をリードしていくセクションの必要性を痛感したところでございます。そこで、各課が所管します地域資源や
取り組み等を発掘、収集し、
本市ならではの魅力や優位性を分析して、戦略的な
プロモーション活動を展開していくために、平成31年度から広報課に広報戦略の担当を置きたいと考えております。
その上で、今後、市全体の情報発信の指針となる広報戦略を策定しまして、広報課、国際課、
東京事務所等を所管しております政策局が中心となって、各局の
プロモーション活動を調整し、戦略的な広報に努めてまいる所存でございます。
次に、新年度予算で計上しております
国内プロモーション経費の具体的な内容についてお答え申し上げます。
平成31年度は、
熊本城天守閣大天守の外観復旧を初め、
国際スポーツ大会の開催や
熊本城ホールの開業など、熊本地震から復興しつつある熊本を首都圏にアピールする絶好の機会であると考えております。このようなことから、今後開催予定のイベントや
レセプション等で広く本市の紹介に活用するため、復興が進んだ現状と本市の魅力を融合した
プロモーション動画制作の経費を計上しているところでございます。また、CM制作や
テレビ番組など、首都圏のメディアを活用した
プロモーション活動も積極的に行ってまいります。
加えて、本市の政策を首都圏において広くアピールするとともに、新たな
ネットワークの構築やさらなる
企業誘致等を推進するために、東京銀座の
シェアオフィス内に熊本市の
サテライトオフィスを設置する経費、また、首都圏の熊本市出身者の
ネットワークの強化、拡充を図るための経費等を盛り込んでおります。これらの取り組みをきっかけとしまして、東京2020オリンピック・
パラリンピック競技大会を初めとする将来の
国内ビッグイベントをも見据えて、本市のさらなる
国内プロモーションにつなげてまいりたいと考えております。
〔28番
倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 熊本市もいよいよ震災からの復興、そして新たな道へと発展していくタイミングであるかと思います。市長も2期目がスタートされたわけでありますし、市長の手腕が問われる時期でもあると思いますので、ぜひ
プロモーション活動を活発にやっていただきまして、福岡に追いつき、追い越せ、北九州に追いつき、追い越せ、九州3番目の政令市としてさらなる発展を遂げますように、御尽力を願いたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
引き続き、新年度予算に関連しまして、市長が特に重点的に進めていこうとされている3つの分野に関してお伺いします。ただ、これらの分野については、代表質問でも数多く取り上げられていますので、私は視点を変え、内容を絞ってお伺いさせていただきます。
まず、人材育成についてですが、次代の熊本を担う人材の育成は、新しい熊本の礎づくりの中でも特に重要なポイントであることは、言をまたないことと思います。大西市長も市長就任以来、
子供医療費助成の拡大、
待機児童対策の推進、小中学校への
エアコン設置、学校教育へのICTの導入など、
子育て環境や子供たちの教育環境の整備に特に力を入れてこられたことは、高く評価されているところであります。これらについては、今後も引き続き尽力されるものと大いに期待しているところでもあります。
ところで、新年度予算で
高校改革関連経費が計上されています。御承知のとおり現在の熊本では、いや、熊本だけではないかもしれませんが、大学受験をにらんで高校がランク化され、中学の成績によって受験する高校を決めているというのが現状なのではないでしょうか。少し過激に申し上げますと、
高校そのものが大学の予備校化しているのが現状で、市立高校もその渦中にあるような気がしてならないのであります。
しかしながら、AIなどに代表される情報技術の進展など、現代社会は目まぐるしく移り変わっており、このように変化の厳しい時代を生きる子供たちには、社会情勢や技術の変化に惑わされず、みずから考え理解し、そして応用できる能力を身につけていくことが求められているのではないでしょうか。
私の情報では、小学校では2020年から、また中学校では2021年から、それぞれ10年ぶりに
学習指導要領が改訂されると伺っています。これまでの
学習指導要領が、学んだことをきちんと理解しているかという知識を学ぶことを目的としていたものに対し、新たに改訂される
学習指導要領では、これに加えて、知識を活用する能力を身につけることも目的にするとのことです。
また、同じく2020年から、大学入試も、これまでの
センター試験が
大学入学共通テストへと変わり、従来の
マークシート式の問題に加え、記述式の問題も出題されることになります。これによって、これからの大学受験では、知識をもとに解答を選択肢の中から選ぶだけではなく、複数の情報からみずからの考えをまとめ、相手が正確に理解できるよう論述する力が求められるようになります。このように、今後の社会において子供たちに求められる能力は変わってきており、それに合わせて学校教育も変革する必要があると考えます。
その一方で、現在の高校の対象となる16歳から18歳の年代は徐々に減少しており、県立高校では既に統廃合が進んでいるように、このまま県立高校と同じような流れで進めば、今後、市立高校も同じような統廃合の波にさらされていくおそれがあります。
私は、このようなことから、市立高校の将来を考える際には、これまでの高校という定義の枠を超えて検討する必要があるのではと考えます。一例を挙げれば、これから先の時代においては、社会人の教育、いわゆる
リカレント教育も大変重要になってくるのかもしれません。
私は、御存じのように、人と動物の共生をライフワークの1つとしておりますが、動物の社会では、寿命が延びるほど一人前になるまでの期間が長くなるという傾向があります。これは人間社会にも当てはまります。戦後すぐの我が国の社会は、平均寿命が65歳から67歳であり、生産人口と言われる者も15歳から60歳でした。しかし、現在、我が国の平均寿命は85歳前後で、生産人口も実質的には23歳から65歳、これを70歳まで引き上げようという動きさえあります。私自身、ことしで還暦を迎えますが、私たちの年代ではあと30年、90歳まで生きるようになるのかもしれませんし、今の10代、20代の若者は、普通に100歳まで生きるようになるのかもしれません。
この人生100年時代における教育というものを考えたとき、20歳代は社会人になる訓練の期間として捉え、就職を体験し、また学業に戻ることを繰り返し、みずからの適性を見きわめ、30歳になって本格的に社会人として活躍するような
キャリア形成が当たり前の社会になるのではないかと考えます。そう考えると、市立高校のあり方を検討するに当たっては、従来の16歳から18歳を対象とした高等学校の枠を超えた改革も視野に入れるべきではないのでしょうか。
そこでお尋ねしますが、今後、
市教育委員会では
検討委員会などを立ち上げ、
市立高等学校のあり方について議論を進められると聞いていますが、改革の方向性についてはどのように考えておられるのでしょうか。昨日の藤岡議員の質問に対し教育長は、既存の発想にとらわれず、将来の進路や生き方、働き方を含め新たな価値を生み出し、県立、市立にもない特色ある人材育成のための教育の場づくりに取り組むと答えられました。
私は、今後の社会変化などを踏まえ、生涯を通じた教育を見据えて、現行の6・3・3の学制にとらわれず大胆に改革を進めるべきではないのかと考えています。このことについて、教育長は現段階でどのような見解を持っておられるのかお聞かせください。またあわせて、今後の具体的な検討の進め方や
スケジュールなどについてもお願いいたします。当意即妙との誉れ高き
遠藤教育長にお伺いさせていただきます。
〔
遠藤洋路教育長 登壇〕
◎遠藤洋路 教育長 高校や専門学校が時代のニーズに応えるためには、既存の枠にとらわれない抜本的な改革が必要であると考えております。
高校改革等については、先般開催されました
復興アドバイザー会議でも、生涯学習や
キャリア教育、
リカレント教育等の視点を持って取り組むべきとの助言もいただいたところです。改革を通じて、偏差値だけが尺度になる高校選択ではなく、学校の
教育内容等、魅力ある教育の場として選ばれるような
高校づくり等に取り組んでまいります。検討の進め方や
スケジュールについては、本年4月に、
学識経験者や産業界の関係者、保護者、
学校関係者など10名程度で構成する
市立高校等改革検討委員会を立ち上げ、年4回開催する予定です。委員の任期は2年を予定しており、市立高校や
総合ビジネス専門学校のあり方について、現状と課題の分析等を踏まえ、多角的な視点から御意見をいただくこととしております。
〔28番
倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 さすがは当意即妙との誉れ高き
遠藤教育長でありまして、私の意見とほぼ同調していただいて、とてもありがたいと思います。子供たちが本当に学びやすい教育環境をつくっていただきますととともに、この熊本市にとってすばらしい次世代が育ちますように、
教育委員会としても取り組んでいただきますように、心から祈念申し上げまして、次の質問に移らせていただきます。
次は、本市の交通問題についてお伺いいたします。
平成24年3月、本市の将来に向かって最も望ましいと考えられる
公共交通網を描いた熊本市
公共交通グランドデザインが策定されました。この中で、鉄軌道を中心とした8軸の
基幹公共交通軸の定時性、速達性、輸送力などの機能強化、基幹軸につながる
フィーダー路線との結節や乗りかえなどの
利便性強化、
交通不便地域などへの新たなサービスの提供が掲げられており、これを、市民、事業者、行政、三者がそれぞれの役割分担のもとで実現していくために、平成25年3月には、公共交通に特化した条例として、我が国初となる熊本市
公共交通基本条例が制定されました。その後、この基本条例に基づき、
交通空白地域などへの
デマンドタクシーの導入やバス路線の
フィーダー化に向けたイオンモールクレアでの乗りかえの社会実験、さらには熊本市と
バス事業者が連携し、
バス路線再編に向けた
プログラムが策定され、この
プログラムに基づく取り組みも幾つか進められました。
しかしながら、抜本的な
バス路線網の再編までには至っていないということで、市長は2期目の
マニフェストで、今後は利用者がわかりやすく利用しやすい、そして持続可能なバス路線を再編するため、バス会社の統合も視野に入れて行政が積極的にリードしていくとの並々ならぬ決意を示されました。
そこで、市長が言われる自家用車や公共交通などとの
ベストミックスという視点でお尋ねしたいと思います。
高度成長期のモータリゼーションの発達により、各家庭における自家用車の保有台数は増加の一途をたどり、全国の
主要幹線道路における交通渋滞は深刻な状況となっているのが現状です。それは本市においても例外ではなく、熊本市の商業地域における混雑時旅行速度は、平成27年の
国土交通省の調査データによると、
政令指定都市の中でワーストワンとなっており、平成25年の九州内における
主要渋滞箇所数も熊本県が最も多くなっているなど、他都市と比較しても交通渋滞はひどい状況です。これは、本市の道路網が中心部から放射線状に広がっていることに大きく起因していると考えられます。特に渋滞がひどい東部方面の道路網を見ますと、市中心部から東部方面に向かって
県民運動公園方面に向かう供合線、
東バイパスから熊本空港に向かう第一空港線や戸島線、産業道路、国体道路、競輪場前を
通り戸島方面に延びる新外線、そして放射線状に伸びている第二空港線と、6本の
主要幹線道路、いずれの路線も本市を南北に貫く
東バイパスを横断しており、その
交差点周辺においては慢性的な渋滞を引き起こしています。雨天時や曜日によっては
中心市街地まで1時間を超える状況であり、東部方面には
阿蘇くまもと空港もあることから、さまざまな物資の配送に時間を要したり、大事な会議に支障を来したりするなど、
社会的損失ははかり知れないものです。
熊本地震の際には、道路の損傷に加えて、物資搬入や瓦れきの撤去、復旧工事のため、県内外から多くの車両が入ってきたことから交通渋滞に拍車がかかり、復旧作業に追われる市民生活にも多大な混乱をもたらしたことは記憶に新しいところであります。
私は、公共交通と自家用車の
ベストミックスの望ましい将来像としては、
立体交差化など
主要交差点の改良を進め、通過交通を円滑に流すとともに、
バス専用レーンや
公共交通優先信号の設置などにより、中心部へは極力公共交通の活用を促進することこそが必要であると考えます。
大西市長は、渋滞解消のための道路整備について、国道57号線
東バイパスの
部分立体化、国道3号線
植木バイパスの
早期全線開通、
熊本都市圏の環状道路の整備、そして既存の概念にとらわれない
主要交差点の改良に取り組むと言っておられますのでお尋ねしますが、公共交通と
自動車交通の
ベストミックスについて、大西市長が考えるその将来像とはどのようなものでしょうか。また、そのためにどのような取り組みを進めていかれますか。お伺いします。
また、先日、
自民党熊本市議団として、平成31年度政策及び予算に関する要望大綱を市長に直接要望させていただいていますが、先ほども述べましたように、市長の
マニフェストにも掲げられている国道57号線
東バイパスの
部分立体化、国道3号線
植木バイパスの
早期全線開通、
熊本都市圏の環状道路の整備、
主要交差点の改良については、
熊本都市圏の交通渋滞解消には必要不可欠です。これまでも国との協議はもちろん、市長みずからも要望活動を続けておられることは十分に承知しておりますが、具体的な進捗状況はどうなっていますか。先日の代表質問におきましても、我が党の津田団長から質疑があっております。また、その整備状況については、私は前回も質問させていただいております。前回から3年半が経過しているということもありますので、改めて確認させていただきたいと思います。
加えて、平成30年3月の道路法等の一部改正による重要物流道路制度創設に関し、お尋ねをいたします。
これまで本市では、道路整備について、都市マスタープランにも掲げる2環状11放射道路網を核として、道路整備
プログラムに基づき順次整備を行ってこられたかと思いますが、より広域的な新たな道路の
ネットワーク形成が必要となり、その検討に当たっては、国県市で構成される熊本県幹線道路協議会において、新たな広域道路交通計画、ビジョンの策定を進めていると聞いております。現在までの協議の状況、
スケジュールなどについて、またこのビジョンを踏まえた熊本市としての今後の取り組みについて教えてください。
以上、本市の交通問題について、関係者の御答弁をお願い申し上げます。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 本市において、慢性的な渋滞対策のため、継続的に道路整備を実施し、都市計画道路の整備率は63%となっておりますが、この15年間で自家用車の利用が約1割増加し、市中心部を初めとした市街地部における渋滞解消には至っていない状況でございます。
また、今後の超高齢社会の進展に対応していくためには、過度に自家用車に依存しない、誰もが移動しやすく暮らしやすい都市の形成を目指していく必要があると考えております。
このような中、引き続き、2環状11放射道路網といった都市圏内外の人流・物流、災害時活動を支援する骨格幹線道路網の形成に取り組んでまいりますが、周辺市町村から本市中心部に集中する交通特性を鑑みますと、道路整備と並行して自家用車から公共交通への転換を進めていくことが不可欠であると考えております。
そのため、市電延伸を初めとした基幹公共交通の機能強化や
バス路線網の再編、それらにコミュニティ交通を接続することで、わかりやすく利便性の高い公共交通
ネットワークを形成してまいりたいと考えております。
加えて、市街地部におきましては、道路空間の再配分による公共交通の定時性、速達性の向上を進めることで、公共交通と自家用車を効率的かつ利便性高く組み合わせた都市交通の最適化、いわゆる
ベストミックスを構築してまいりたいと考えております。例えば、諸外国においても、
自動車交通から公共交通へ転換する取り組みが積極的に進められておりまして、例えば自動車大国であります米国シアトルでは、市民にわかりやすい公共交通
ネットワークの構築や、バス高速輸送システムでございますバス・ラピッド・トランジット、いわゆるBRTの積極的な導入によりまして、2010年から2017年の7年間で1人乗りマイカー通勤が約10%減少していると伺っておりまして、このような都市の事例も研究しながら、
ベストミックスの構築に全力で取り組んでまいりたいと考えております。
〔田中隆臣都市建設局長 登壇〕
◎田中隆臣 都市建設局長 私からは、幹線道路の整備状況並びに新たな広域道路交通計画、ビジョン等に関しお答えいたします。
熊本都市圏の慢性的な渋滞を解消するには、先ほど市長が述べられましたように、現在進めております幹線道路等の事業の早期実現が喫緊の課題であると考えております。その進捗についてですが、まず国直轄である熊本北バイパスについては、橋梁工事など全線4車線化の整備に向け鋭意進められており、
植木バイパスについても国道3号部分の橋梁架設工事を進められるなど、着実な事業進捗が図られているところでございます。特に
植木バイパスの整備においては、早期完成に向けた地元の熱意や期待を国も十分に認識されており、本市においても、事業進捗をより加速させるために用地国債を活用した用地取得などに協力しているところでございます。
また、熊本環状道路の一翼を担う熊本
東バイパスの
部分立体化については、早期実現化に向け、市長みずから先頭に立ち、国への要望活動等を通じ、強力に働きかけを行っているところでございます。
次に、本市事業の進捗でありますが、熊本西環状道路については、現在、池上インターから花園インター間でトンネルや橋梁などの工事を進めており、事業費ベースで約50%の進捗となっております。
主要交差点については、主要渋滞箇所である浄行寺や薬園町交差点について、2020年代半ばの完成を目指し、鋭意事業を進めております。
そのほかの交差点についても、新外一丁目交差点など4カ所について、現在、交通管理者と協議に入り、早期事業化に向け検討しているところでございます。
以上が現在の進捗状況ですが、今後とも
熊本都市圏の交通渋滞解消に向け、環状道路の早期完成や交通の円滑を図るための交差点改良などに引き続き取り組んでまいります。
次に、新たな広域道路交通計画、ビジョンについてお答えします。
新広域道路交通計画は、1998年の改定以来20年ぶりに改定されるもので、まず地域の将来像を踏まえた広域的な道路交通の今後の方向性を示す新広域道路交通ビジョンを策定し、このビジョンを踏まえながら、広域的な道路
ネットワークの現状課題に対し、平常時、災害時及び物流、人流の観点を踏まえた
ネットワークの計画を策定するものでございます。
現在、国県市で構成する熊本県幹線道路協議会において議論を進めており、有識者に意見を伺いながら、ビジョン策定に向けての取りまとめを行っているところで、その後、新広域道路交通計画策定に向けた検討を進める予定となっております。策定に当たりましては、さきに市長が述べました本市が目指す
ベストミックスの将来像を踏まえつつ、新たな社会、経済の要請にも応えられる計画となるように努めてまいります。
〔28番
倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 公共交通と
自動車交通の
ベストミックス、まさに耳に心地いい言葉でありますし、これこそ市民、県民の願いであります。どうぞ一日も早い渋滞解消に向け、さらなる取り組みをよろしくお願いしたいと思いますし、我々ももちろんチーム熊本で、全員で協力させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
次に、
健康づくりについて、特に健康ポイント事業についてお尋ねいたします。
改めて言うまでもなく、高齢化の進展に伴う社会保障費の漸増は、持続可能な自治体運営を行う上で重要な課題です。本市の国民健康保険会計は、目標としている単年度黒字化がなかなか達成されず、一般会計から約87億円もの繰り入れを行っているものの、累積では24億円もの赤字を抱えています。これまでにも、医療費適正化や保険料改定、収納率向上対策のほか、一般会計からの支援の拡充など赤字解消への努力は認めますが、今後も被保険者数の減少による保険料収入の減少に加え、1人当たりの医療給付費の増加が見込まれるなど、大変厳しい状況が長く続くと考えられます。
本市の国民健康保険料は、20
政令指定都市の中で最も高くなっていますが、最大の要因は1人当たりの医療費が高いことにあります。平成28年度における厚労省のデータによると、熊本市の1人当たりの医療費は年額約36万6,000円で、
政令指定都市の中で最も安いと言われる千葉市と比べて4万円以上も高いのが現状です。
このデータに関連して、特定健診受診率やがん検診受診率についても、熊本市は
政令指定都市の平均には遠く及ばず、軒並み低くなっています。医療費と受診率の間には相関関係があって、医療費削減にはその受診率の向上策が求められていることは明白であり、さまざまな場面で予防医療の必然性が問われているのが現状です。国会でも予防医療の重要性が議論されており、日本医師会の横倉会長も、医療費削減ありきでなく、健康増進を目的とした政策の結果として削減につながるよう、地域で取り組みを進めることが重要であると述べられるなど、予防医療の有用性については疑いのないところです。
このようなことから、国保財政を健全化していくためには、健診の受診率を向上させる取り組みや、市民の一人一人の
健康づくりを推進する仕掛けが必要と考えます。市長も、病気予防のためのさまざまな行動に対しポイントを付与するなど、健康に対するインセンティブ制度の導入を掲げ、市民の自主的な
健康づくりや福祉活動を支援するとされています。そこで、新年度予算で計上されている健康ポイント事業の具体的な内容と、その手法を選択した根拠や見込まれる効果についてお尋ねします。
加えて、今回健康ポイント事業では、アプリなどのICTツールを活用していくとのことですが、これまで熊本市には、LINEアプリを活用した市政情報の提供を初め、防災情報、ごみ出し情報などさまざまなアプリが存在しています。申しわけないのですが、市民の視点に立ってみますと、いろいろなアプリをダウンロードすることの煩わしさ、またICT技術に詳しくない方に対するアプローチなど幾つもの課題があるかと思います。これらの課題に対する対応についてもあわせてお聞かせください。
以上、健康福祉局長にお伺いします。
〔池田泰紀健康福祉局長 登壇〕
◎池田泰紀 健康福祉局長 健康ポイント事業に関してお答え申し上げます。
本市におきましては、特定健診及びがん検診の受診率が低いことから、市民が健診受診行動等の健康的生活習慣を確立することは、人生100年時代を迎える中、生活習慣病予防や介護予防におきまして、非常に重要であると考えております。
まず、1点目の健康ポイント事業の内容とその手法を選択した根拠や期待する効果についてでございますが、市民の皆様に気軽に楽しく、また継続的に
健康づくりに取り組んでいただくために、スマートフォン専用アプリを用いました健康ポイント事業を構築するものでございます。具体的には、特定健診やがん検診を受診することによる健診ポイント、ウオーキングなどの毎日ポイント、健康に関するイベント参加などのお出かけポイントの3つのカテゴリーにおきまして、一定以上のポイントをためることでインセンティブを付与する仕組みでございまして、2019年度にアプリの開発と試行運用を行い、2020年度から本格運用したいと考えているところでございます。
この取り組みによりまして、広く市民の健康意識の醸成を図りますとともに、健診受診率の向上によります疾病の予防及び医療費削減に寄与できるものと考えているところでございます。
次に、アプリ導入の課題についてでございますが、議員御指摘のとおり、さまざまなアプリが乱立することによる煩雑さを軽減し、いかにわかりやすく気軽に活用いただけるかが肝要であると考えておりまして、そのため、将来的には、汎用性が高く利用者が操作しやすいアプリの構築が不可欠であるものと考えているところでございます。
なお、アプリの使用方法等につきましては、市民にとってわかりやすいものとなるよう、丁寧な周知広報に努めてまいりたいと考えております。
これまでの健康増進に向けたさまざまな施策に加え、新たに健康ポイント事業を展開することによりまして、市民の皆様の
健康づくりの底上げを図り、生涯を通じて健やかで生き生きと暮らせるよう、一層の
健康づくりを推進してまいりたいと考えております。
〔28番
倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 医療費の削減のためにも、また市民の
健康づくり増進のためにも、ぜひ健康ポイント事業をさらに続けていただきたいと思いますが、がん検診についても、あるいはさまざまな健診についても、もっともっと啓発していただきたいんです。まだなかなか受診率が上がらない。そして、これはいかに健診が大事で、がんに対しては早期発見がいかに大切なことであるかということを、もっと我々も訴えるべきでありますし、行政側ももっと市民に訴えていく必要性があるのではないかと思っています。
どうぞ健診率をさらに上げていただいて、熊本市民が健康で長寿でありますように、どうか努力を続けていただきますように、心からお願い申し上げたいと思います。よろしくお願いいたします。
次に、私のライフワークでもあります。またかと思われる方もおられるかもしれませんが、市議会議員としての16年間を合わせると二十数年来、継続して取り組んできた問題であり、人と動物の共生社会についてお尋ねさせていただきます。
まずは、前回の平成30年第4回定例会において採択されました、熊本市内における捨て犬と捨て猫の防止を官民が連携して取り組むための請願に関連してお伺いいたします。
本市は、平成19年にガスによる殺処分を中止、平成24年には熊本市動物の愛護及び管理に関する条例の施行、平成26年には譲渡専用及び動物愛護の拠点となる愛護棟が完成、平成27年3月には犬の殺処分ゼロも達成され、現在では全国的にその取り組みは注目されています。これまで殺処分ゼロに向けた取り組みについては、事あるごとに質問、提案をさせていただき、市民啓発の充実やワンニャン相談コーナーの開設、緊急災害時における薬剤メーカーや獣医師会との優先治療契約の締結など、皆様方の協力のおかげで多くの取り組みが実施につながっており、本市の皆様方の命を大切にする考え方を、実に喜ばしく誇らしく思っています。
しかしながら、皮肉なもので、この殺処分ゼロを掲げたことによりまして、殺されないから捨てても大丈夫などという考えを持つ方があらわれたことは、非常に残念でなりません。また、熊本地震で迷子になった犬猫が数日間徘徊していたために迷子札が取れてしまい、飼い主のもとへ帰れなかったのも悲しい事実であります。熊本市内における捨て犬と捨て猫の防止を官民が連携して取り組むための請願は、そのようなことから取りまとめたものです。
そこで、2点お尋ねさせていただきます。
1点目は、飼い主の飼養責任を明確にし、捨ててしまうことの防止策として、環境省が推奨するマイクロチップの導入を飼い主の努力義務とする条例を制定してはどうかと考えますが、いかがでしょうか。このマイクロチップは、ペットの飼い主を特定するもので、ペットを捨てた際にはその飼い主が判明することで、動物愛護法の処罰対象となるものです。捨て犬や捨て猫の抑止効果が期待でき、殺処分ゼロに向けての取り組みに不可欠であると考えています。
2点目は、条例を制定するなどマイクロチップの導入促進に取り組んだとしましても、最初の段階ではなかなか進みにくいことが予想されます。そこで、期間限定でも結構ですので、費用の一部を助成するような制度を設け、マイクロチップ導入の促進につなげてはいかがでしょうか。
以上、マイクロチップ導入の条例化による飼い主への啓発と、その導入を促進するための助成制度の創設について、私自身の特別な思い入れもありますので、人と動物の共生社会に対する基本的な考えや方向性も含めまして、大変恐縮でございますが、私と同様に犬猫好きの大西市長にお答えいただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 今、議員から犬猫好きということでお話がございました。答弁に入ります前に、私自身も小さいころから犬や猫を飼っておりました。ただ、やはり動物の死というものに遭いましてから、大変喪失感というものがありまして、それ以来、現在は飼っている状態ではございません。ただ、人と動物が共生していく社会というのは非常に重要だと思っておりますので、そういう気持ちも込めまして答弁させていただきたいと思っております。
本市が目指します人と動物の共生社会というものは、動物と動物を飼う人、そして飼わない人が安心して心地よく暮らせる社会でありまして、このような社会の実現に向け、全ての人が動物は命あるものであることを認識することが大変重要であると考えております。また、動物を飼う人は、動物を終生飼養するという強い覚悟を持つとともに、他者に迷惑や危害等を加えることがないよう、適正に管理を行うという飼い主責任を徹底することが必要であると考えております。
今後も、本市の人と動物の共生社会の実現に向けて、熊本市動物愛護推進協議会等との市民協働による動物愛護の普及啓発活動に努めてまいりたいと考えております。
次に、お尋ねのマイクロチップの導入促進についてでございますが、本市の動物の愛護及び管理に関する条例には、飼い主が名札等を動物に装着し、所有者を明示する規定を設けておりまして、マイクロチップの装着も、迷子、災害、盗難、事故などで所有者等の発見につながることや、動物の遺棄の防止につながることから、その有効性は認識しているものでございます。このようなことから、マイクロチップ装着の促進については、熊本市内で開催されますイベントにおいて啓発のためのワークショップを、熊本市動物愛護推進協議会と協働で行っているところです。
お尋ねの条例制定についてでございますが、現在、動物の愛護及び管理に関する法律の改正について検討がなされておりまして、犬猫のマイクロチップ義務化についても議論されております。その中では、狂犬病予防法で義務づけられております犬の鑑札、注射済票の装着との整理等が論点になるなど詳細な検討が進んでおりますことから、費用の助成も含めて、今後の法改正の動向を注視しながら取り組んでまいりたいと考えております。
〔28番
倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 さすがは優しく犬猫好きの市長でございまして、答弁も温かい答弁でございました。
マイクロチップは、個人情報は守られているわけでございますし、厚生労働省が推奨しているように、犬猫にマイクロチップを入れたとしても、耳の入り口の方、痛覚を感じないところに埋め込むようになっていまして、ごく微量の小さなものでございます。ほとんど痛みを感じない、全く痛みを感じない部分にということで、獣医がそこに装着するというものでありますので、動物を虐待するようなものでは決してありませんし、また個人情報もきちんと守られる。しかしながら、簡単に犬猫を捨てた場合は、当然厚生労働省のコンピューターに問い合わせを、獣医師会を通して、行政を通してやると、その持ち主がわかる。しかしながら、我々が簡単に問い合わせようとしても、これはできない話でございまして、ある意味、罪深きことをすると、当然のことながら持ち主がわかって処罰の対象になりますよというものですので、どうぞ皆さんも御理解いただきまして、御協力いただければと思います。
次に、提案を含めまして動植物園に関連してお伺いさせていただきたいと思います。
熊本市動植物園は、本市の豊かな自然環境の象徴の1つでありまして、生物多様性の宝庫である水前寺江津湖公園の一角に、多くの子供たちが訪れる市民の憩いの場として存在しています。
熊本市動植物園は、もともとは水前寺まで運行していた熊本市電の利用促進を兼ねて水前寺成趣園東側に開設されていましたが、熊本城、北岡自然公園、立田山、そして江津湖など数多くの移転候補地の中、東京上野動物園の初代園長であられます古賀忠道氏の推薦で、昭和44年に現在地に移転いたしました。
水前寺から江津湖までの約2キロの道のりを全ての動物を大移動させたエピソードなど、その移転の様子は、元動物園園長である竹田齊さんの著書、動物大移動ものがたりの中にとても興味深く描かれています。ぜひ一度、御一読ください。
熊本地震では大きな被害を受け、休園せざるを得ない状況となり、園内の補修や猛獣たちの移動など、スタッフの皆さんも大変苦労されたことと思います。閉園中にもかかわらず、残った動物たちの世話を続け、そして昨年末の開園に至るまでの長いつらい道のりを乗り越えてこられた皆さんの努力には、頭が下がる思いであり、心より敬意を表したいと思います。お疲れさまでございました。
ところで、これからの動植物園の運営のあり方というものを考えますときに、経営面や自然環境の保全における持続可能性の追求、今後大幅な増加が想定される外国人への対応など、さまざまな視点で考えなければならないものと思います。経営面における状況を平成27年度ベースで見てみますと、飼育費や人件費など運営する経費として約10億円を要する一方、入場料などの収入は約3億円にとどまっており、自主財源は約3割にすぎません。これまでも、経費削減や魅力向上の取り組みの努力については承知していますが、持続可能な運営体制にはほど遠い現状であると言わざるを得ないのが悲しい実情です。
そこでお尋ねいたします。今後、持続可能な運営へと転換していくためには、その豊かな自然環境の保全と同時に、水前寺江津湖公園と動植物園とを一体的に管理することによる経費削減や民間のノウハウや経営力、いわゆる民間の力を活用した魅力向上策の検討が必要であると思いますが、いかがでしょうか。
また、1月の定例記者会見で市長は、熊本市はワンピースのチョッパーの像を動物園内に設置することを希望しているとのことですが、県内のみならず全国からより多くの人が訪れるようにするためには、このような取り組みはとても大事なことだと考えます。
そこで、私から1つ提案ですが、全国的に人気の高い旭川市の旭山動物園では、VR、いわゆるバーチャルリアリティーを活用されており、臨場感あふれる迫力ある動物たちの映像を楽しむことができると人気を博していますし、ハウステンボスではメリーゴーラウンドに乗るときにVRのメガネを装着することで、360度の景色と空中を散歩しているかのごとき体験をすることができるなど、たくさんのVRが導入されていて、にぎわっています。ぜひこのような体全体で楽しめるVR、バーチャルリアリティーを、人を呼び込む策の1つとして本市の動植物園にも導入してみてはいかがでしょうか。サファリパークのような猛獣との触れ合いや、鳥たちとともに空を飛ぶ仮想現実は、若い世代や観光客が興味津々で訪れること受け合いで、まさに市民の歓喜あふれる施設となるのではないでしょうか。
以上、改革のスペシャリストとして定評のある経済観光局長にお尋ねします。
〔平井英虎経済観光局長 登壇〕
◎平井英虎 経済観光局長 動植物園に関する2点のお尋ねについてお答えいたします。
まず、動植物園の持続可能な管理運営についてでございますが、動植物園におきましては、現在2029年の開園100周年を見据え、(仮称)熊本市動植物園マスタープランの策定に取り組んでいるところでございます。このマスタープランの策定に当たりましては、動植物園が豊富な湧水など自然環境に恵まれた水前寺江津湖公園の一角を占めることから、現在策定を行っております公園全体の保全、利活用計画との整合を図りながら、施設の整備計画に加え、持続可能な動植物園の構築に向けた収支改善の方向性についても盛り込むこととしております。
また、特に議員御指摘の民間のノウハウ等の活用に関しましては、今年度行いました民間事業者からのマーケットサウンディングにおきまして、カフェやレストランの設置、新たな遊具導入などの御提案をいただいており、これらのさらなる魅力向上策につきましても、導入に向けた検討を進めてまいりたいと考えております。
次に、動植物園へのVR導入についてでございますが、動植物園のさらなる魅力向上のための有効なツールの1つと考えますので、まずは新年度に予定しております現在地移転50周年記念事業の中で試験的に実施できないかを検討してまいります。
〔28番
倉重徹議員 登壇〕
◆倉重徹 議員 さすがは改革のスペシャリストと言いたいところですが、ぜひ検討をもう一歩進めて実現していただきますように、お願いしたいと思います。
熊本城も復興のシンボルでありますが、動植物園も市民のにぎわいの創出には不可欠でありますし、観光客を呼び込むための策としては本当にいいアイテムであるような気がいたします。また、熊本市民が憩いの場として、若い世代から高齢者までみんなが楽しめる施設として、そして、そこに行くといろいろなことで楽しめて、気持ちがわくわくとして和むというような施設に、ぜひ動植物園を改革していただきたいと思います。バーチャルリアリティーは仮想現実の中ではありますが、いろいろな体験ができるというのは、皆さんもう周知の事実でありますので、どうぞ導入に向けて一歩進めていただければと思います。
実は早口で余り言い過ぎたんですかね、ちょっと早く終わり過ぎるのかなと思いますけれども、ちょっと要望だけ1カ所させていただいて終わりたいと思います。
熊本地震から寝る間も惜しんで頑張ってこられた本市職員の皆さんのメンタル面でのケアですけれども、この必要性が最近議員の皆さんも実感していると思うんですけれども、メンタル面でのケアに少しだけ力を入れていただければと思います。市長は、そういったところにも持ち前の優しさをお持ちと思いますので、どうかその辺にも力を注いでいただきますようにお願い申し上げます。
以上で、ちょっと速過ぎたかと思いますけれども、私が準備した質問がこれだけでございまして、最後まで真摯に答弁をいただきました大西市長を初め執行部の皆様方に感謝申し上げます。また、最後までおつき合いいただいた先輩議員並びに同僚議員の皆様方に、心より感謝申し上げます。
私は、この歴史と伝統ある熊本市議会の一員として、これからもその誇りを胸に、市民の皆さんの生活向上と市政の発展に全力で努めてまいります。
お忙しい中に傍聴していただきました皆様方にも心より御礼を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。(拍手)
────────────────────────────
○くつき信哉 議長 この際、議事の都合により休憩いたします。
午後2時に再開いたします。
午前11時07分 休憩
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午後 2時00分 再開
○くつき信哉 議長 休憩前に引き続き会議を開きます。
────────────────────────────
○くつき信哉 議長 一般質問を続行いたします。田尻将博議員。
〔47番 田尻将博議員 登壇 拍手〕
◆田尻将博 議員 こんにちは。市民連合の田尻将博でございます。
本日、議員28年間の終止符として、最後の一般質問の機会を与えていただきました先輩並びに同僚議員の皆さん、感謝を申し上げます。
さて、4月末をもって引退するわけでございますが、28年間でも取り残した部分が若干ありますし、私もことし68歳になりますので高齢者の仲間入りということもありまして、若干そういう議題を含めてお時間をいただき、質問したいと思います。
28年間で私の一般質問が一番多いのは何だったかなと思い浮かべますと、やはり地域の問題ではイノシシ対策や水害対策、そして通年にわたってやってまいりました池上町の池辺寺遺構の整備、これにつきましては、大変ありがたく、池辺寺の遺構の公園として整備をしていただきました。本当にこれは地域の資源であり、財産として、私たちも今なお、今後も含めてですが、有効に活用していきたいと思います。したがって、きょうの質問にはありませんが、池辺寺も含めてさらなる御支援をよろしくお願いいたします。
それでは、早速ではございますが、一般質問に入りたいと思います。
改元と自治体への影響について。
今はやりの言葉でございます。改元。平成最後の年が明けて、平成30年間を思い起こすと、平成最後という枕詞が走り出します。私も平成3年4月に初陣を飾り、この議会に席を与えていただきました。平成最後のことし4月30日、この同じ日に私も議員生活の幕を閉じるわけでございますが、私にとっても元号平成は人生のインデックスになってしまいました。
では、元号とはもともと何だったのか。結論を先に言えば、元号は時代区分のインデックスとして、時間の流れに区切りをつけ、社会の空気をリセットする機能を果たしてきたと言われます。日本の元号は、645年の大化に始まり、1989年から続く平成まで247を数えます。元号大宝が701年に制定されて以来、現在まで1,300年以上途切れることなく続いています。1人の天皇に1つの元号を限定する一世一元をルールとしている国は、世界中で日本のみであります。
247の元号のうち、昭和までの246個は最後には天皇が決めていました。武家の権力が天皇より強い時代があっても、形の上では元号は天皇が決めてきています。その理由は、天皇を時間の支配者として君臨させてきたからです。天皇は、時代の呼び方を決めることによって、みずからの権威や権力をあらわす記号として元号を使っていたからであります。徳川幕府が支配していた江戸時代においても、事態は変わりませんでした。また、日本の歴史上、天皇は今上天皇に至るまで125代ですが、改元の回数はその約2倍の247の元号に上ります。明治天皇の父で江戸時代最後の第121代孝明天皇が1846年、弘化3年に即位され、21年間の在位中、元号が何と6回変わりました。
元号は天皇と密接に結びつきながらも、それだけにとどまらず、時代を区分するインデックスとして機能しています。明治維新、大正デモクラシー、昭和史。元号と私たちの記憶はさまざまな形で結びついてきたし、現在も結びついています。
加えて、それぞれの形で、おのおのの天皇のイメージもまた重ね合わせています。日本を近代化に導き、戦争を含めて国を引っ張った偉大な明治天皇、そして弱くも自由な時代の空気を身にまとった大正天皇、元首と象徴という2つの姿を生きた昭和天皇、こうした3人のイメージはそのまま元号にも重なります。
昨今は西暦の使用が普及しており、そればかりか、国会では元号廃止をめぐって議論されるなど、元号よりも西暦を求める声があります。元号を天皇とセットにして時代を捉えようとしても、かなり難しい時代です。元号は強制力を持たないばかりか、時代を区切る記号としての働きも失いつつあり、元号を使わなくなってもよい、ないしは使うべきではないという意見が出てきています。事実、今回の代がわりをきっかけに、システム上の表記を全て西暦に統一する企業も出ています。
翻って、地方自治体を初めとする公的機関や公文書の記載では、改元を経た次の元号を使い続けると思います。その理由は、元号は1,300年以上の歴史を持つという伝統にだけあるのではありません。折しも外国人労働者の受け入れ拡大や人口減少、さらには二度目の東京オリンピックと大阪万博を控え、日本は新たな時代に入ります。これまでのように、元号と天皇がリンクする形で時代を記憶するばかりではありません。さまざまなバックグラウンドを持つ人たちが新たな姿を模索する上で、元号をきっかけに過去を見直す機会はふえるに違いありません。平成最後の年明けは、そうした新たな時代への思いをはせる機会であり、元号もまた新たなつき合い方に向けた思考を促すツールへと位置づけを変えていくと思われます。
そこで、自治体現場への影響として、1つ、改元に伴って生じた作業について、2つ目、事前準備について、3つ目、職員への指導研修について等が考えられます。元号でございますので、市長の御所見を伺います。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 新元号となる本年は、新しい時代の幕開けであると同時に、本市にとりましては、市制施行130周年という大きな節目の年でもございます。
元号につきましては公文書の日付として用いておりまして、現在、新元号移行に向けて各種証明書、納付書等のシステム改修を進めているところでございます。新年度からは元号に西暦を併記することにより、新旧の元号が混在しても期間等の把握が容易になることや、近年の在住外国人の増加に伴う国際化へも対応したいと考えております。元号の取り扱いにつきましては、全職員に対して周知徹底し、混乱なく円滑に移行できるよう努めてまいります。
〔47番 田尻将博議員 登壇〕
◆田尻将博 議員 ありがとうございました。
私たちは、昭和、平成、そして新しい元号の時代を生きていきます。メディアでは、平成の改元時の幻の20案など、平成以外にどんな新元号候補があったかなど、当時の資料が発見されています。また、今日では、新元号を予想する話題もたくさんありますが、内閣は4月1日に新元号を公布するとなっています。新しいインデックス、新元号を、皆さんとともに楽しみに待ちたいと思います。
それでは、2番目の項目で、熊本市の都市像についてお伺いいたします。
私が初当選したのは平成3年でございまして、その平成3年12月5日第4回の定例議会で初めて一般質問をいたしました。ちょうど今から28年前でございます。当時は、バブル経済時代、年間100億円が社会資本の充実に予算化され、10年間で1,000億円を公園や市営アパート、道路の新設など夢を見た時代でございました。その当時は、市の予算の3分の1を土木建設費が占めており、各地域から公園新設や市営アパート建設などの要望が絶えない時代でございました。
本市は福岡市を目標に、都市間競争で九州の雄都を目指していました。本市は折しも100年を迎え、21世紀に向けた基本構想がスタートした年でもあります。福岡市との都市間競争での見解は、福岡市と違ったまちづくり、4世紀をしのいだ熊本城の歴史的な資産、同時にまた60万都市を支える地下水、緑と水の優位性を生かしたまちづくり、同時に、城下町の中で築き上げてきた生活文化、こういうものを大事にし、九州の雄都として、福岡をしのぐ立派なまちづくりをしなければならないと所見を当時の市長は述べられております。ちょうど28年前のことでございます。しかし、市長がかわれば都市像も九州の雄都も消えていきました。
さて、本市では平成28年3月に熊本市第7次総合計画が策定され、総合計画の目指すまちの姿、上質な生活都市づくりが策定されました。平成29年8月には、第2次熊本市都市マスタープラン地域別構想、全体構想が見直され、豊かな水と緑、多様な都市サービスが支える活力ある多核連携都市を将来像として進んでいます。昨今の本市の現状は、平成23年4月、九州新幹線鹿児島ルートが全線開通し、交流人口もふえつつ、また熊本駅周辺は、白川口北側に2020年冬をめどに、熊本駅北ビル、オフィスビル、2021年には白川口の南側にシネマやホテルが入る商業施設が建設を予定されています。規模は博多駅に次ぐと報道されております。
中心市街地に匹敵するにぎわいが期待されています。
さらに、
中心市街地再開発や桜町再開発の商業ビル施設が本年9月に完成を予定され、大型集客施設
熊本城ホールが開業します。どんどん成長しております。陸の玄関口熊本駅と周辺整備事業の完成、そして
中心市街地、桜町再開発も終盤に入り、本市都市構造の将来像は豊かな水と緑、多様な都市サービスが支える活力ある多核連携都市であり、上質な生活都市を目指しています。都市が飛躍的に成長している本市の都市像を一口で表現するキャッチフレーズを誕生させてはいかがですか。そのキャッチフレーズからテーマを呼び起こし、都市像が定着するのではないでしょうか。
また、新年度以降はシティプロモーションにも新たに力を注がれるということですので、本市を外から見る方にとってもイメージしやすいキャッチフレーズが必要であると考えます。
私は、熊本市の都市の代名詞は、100年も生き続ける夏目漱石の、森の都熊本です。森の都をさらに発展させ、総合計画が目指す上質な生活都市や、豊かな水と緑、多様な都市サービスが支える活力ある多核連携都市にマッチングさせてはいかがでしょうか。都市が成長する熊本市、地震から復活する熊本市、活力ある多核連携都市熊本を一言で表現するキャッチフレーズを考えると、新森の都熊本と提案したいと思います。市長は、本市の都市像のキャッチフレーズについてのお考えがありますでしょうか。お伺いいたします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 御案内のとおり本市では、熊本市第7次総合計画の目指すまちの姿として、市民が住み続けたい、誰もが住んでみたくなる、訪れたくなるまち、上質な生活都市を掲げております。この上質な生活都市とは、豊かな自然と歴史文化に恵まれ、温かい触れ合いに満ちた地域の中で、お互いに支え合いながら心豊かで幸せな暮らしが営まれているまち、そして、市民一人一人が自分たちが暮らすまちに誇りを持ち、夢や希望を抱いて、生き生きと多様な生活を楽しんでいるまちと定義をしております。
〔議長退席、副議長着席〕
ただいま議員からは、新森の都熊本という、都市像を一言で表現するキャッチフレーズの策定について御提案をいただきました。私は、まちづくりの原点は地域、そしてそこに暮らす市民であるとの考えから、上質な生活都市という都市像を掲げたところでございまして、具体的なイメージを市民の皆さんと共有できるよう、さらなる周知を図りますとともに、国内外に向けても広く発信してまいりたいと考えております。
〔47番 田尻将博議員 登壇〕
◆田尻将博 議員 ありがとうございました。私も本市のイメージが上質な生活都市ということで、大分考えましたが、これというのは浮かばず、やはり最後に返ってきたのが森の都でございました。しかし、森の都といっても、森で緑で環境をあらわすし、都ということになれば大都市のイメージもあるわけでして、落ちついた熊本市のようなイメージも浮かんでくるわけでございます。したがって、これから本市がいろいろな形で発展していくわけでございますので、何か一発でわかるようなキャッチフレーズを、どうか皆さんとともに考えて、あれがいい、これがいいというのが出てくるだろうと思いますが、ぜひ考えていただきたいなと思います。
今、熊本市中心街を見てみますと、熊本駅もそうですが、高い高いビル建設のクレーンがいっぱいおります。これはやはり熊本市は伸びていっているなというようなイメージが湧いてきます。本当にうれしい思いでございますし、百年の計の熊本市が今スタートを切っているというイメージでいっぱいでございます。ぜひその完成とともに、交流人口をふやしていただきまして、上質な生活都市熊本市を目指していただきたいと思います。
それでは、続きまして人口減少と行政運営についてお尋ねをいたします。
人口動態統計速報、これは平成30年、去年10月23日ということになっております。平成30年1月から8月までの日本人の出生数は63万4,447人であり、前年度同時期より1万3,487人の減となっています。また、合併により一時的に人口がふえても、その後、人口減少という自治体も見られています。政府は、人口急減、超高齢化という我が国が直面する大きな課題に対し、政府が一体となって取り組み、各地域がそれぞれの特徴を生かした自律的で持続的な社会を創生できるよう、まち・ひと・しごと創生本部が設置されまして、人口減少への対策と地域経済の再生を目的とする、まち・ひと・しごと創生総合戦略が平成26年12月に取りまとめられました。
その政策が、地方創生と東京一極集中の是正を目指す政府の5カ年計画、まち・ひと・しごと創生総合戦略は開始から4年、2019年度が最終年次となり、その成果は乏しいと報道されています。
そして、地方創生について、総務省の自治体戦略2040構想研究会が昨年4月に第一次報告、7月に第二次報告が発表されました。第一次報告では、我が国は少子化による急速な人口減少と高齢化という未曽有の危機に直面しているとして、今後の総人口減少、出生率の減少、そして高齢化の見通しなどを示し、主な課題として、子育て・教育、医療・介護、インフラ・公共施設、空間管理、治安・防災、労働・産業・テクノロジー、これはICT、ロボット、生命科学の個別分野ごと自治体行政の課題や見通しの議論内容を示しました。
第二次報告では、第一次報告で議論された2040年ごろを見据えた自治体戦略の基本的方向性に関してのさらなる議論について報告されています。人口減少、高齢化が進む中、自治体連携や圏域での行政運営のあり方、AI・RPAの活用、情報システムの導入実態などの議論が行われています。各自治体では、総務省の2040構想研究会の報告を踏まえつつ、まち・ひと・しごと創生総合戦略、総合振興計画、各種行政計画ごと、また各計画ごとの連携、調整についての検証、検討が必要ではないかと言われています。
また、行政運営における職員体制に関しては、報告の中でも触れていますが、AI等の活用、自治体間の連携、さらには都道府県と市町村というものの柔軟化についても議論されています。
本市でも、平成28年3月第1回定例議会に熊本市総合計画、熊本市しごと・ひと・
まち創生総合戦略、そして熊本市人口ビジョンと関連して、本市と16周辺自治体との連携協約の締結が提案され、執行中であります。
市長は、本市の総合戦略の特徴を、仕事に力点を置いた戦略で、仕事が人を育み、呼び込む、そして人が集まればまちに活力が生まれ、そのことがさらに新たな仕事を生み出す、こうした好循環をつくることによって、熊本の地方創生を図っていく。そして、魅力ある歴史文化や全国有数の産出額を誇る農水産物、充実した医療・介護、そして多種多様な地場産業を最大限に生かした仕事を創出し、地方創生をリードする施策を重点的に取り組み、上質な生活都市熊本を実現してまいりたいと述べられています。
平成28年3月、総合計画が提案され、その翌月4月に本市を含む周辺自治体が未曽有の熊本地震で甚大な被害に遭い、本市の最優先事業は復興・復旧で全ての事業が中止や後回しになりました。熊本地震の影響で、熊本市しごと・ひと・
まち創生総合戦略、そして熊本市人口ビジョンについては、まだ途中の状況と思いますが、昨年4月には業務の生産性をアップさせ、さらに集中して熊本地震からの復興に取り組むとして、日本マイクロソフト本社と本市がインターネット経由で情報処理をする同社のクラウドサービスを発表、スマート自治体がスタートしています。
そこで、熊本地震による総合戦略の期間延長はあるのか。2番目に、これまでの事業執行の成果と検証はなされているのか。3番目に、本市の人口減少、高齢化が進む中、自治体連携や圏域での行政運営、行政運営のあり方、AI・RPAの活用、情報システムの導入についてどう考えているのか。
以上、市長にお尋ねします。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 平成28年3月に策定いたしました熊本市しごと・ひと・
まち創生総合戦略につきましては、平成27年度から5年間の計画となっておりまして、国の総合戦略と同じく、来年度が最終年度となっております。国においては、これまでの取り組みの総点検を行い、必要な調査分析を行った上で、2020年以降の次期総合戦略の策定に取り組むことが示されたところでございまして、本市といたしましても、国の動向を注視しつつ、来年度の第7次総合計画の中間見直しとあわせて、第2期総合戦略の策定について検討してまいりたいと考えております。
次に、これまでの事業執行の成果と検証についてお答えいたします。本市の総合戦略では、施策ごとに重要業績評価指標、いわゆるKPIを定め、達成度を適切に把握し、効果検証を行うこととしております。具体的には、例えば仕事の分野では、UIJサポートデスク等を介したリターンの就業者数や企業立地件数、子育て支援では保育所の利用待機児童数、まちづくりの分野では地域活動に参加した市民の割合などをKPIとして掲げておりまして、平成29年度の実績では、その約7割が目標を達成しております。
一方で、熊本地震の影響もございまして、観光客入込数や新規学卒者の地元定着率といったKPIにつきましては、現時点で目標達成に至っておりません。計画の最終年度でございます来年度においては、目標達成に向け、さらに積極的な事業展開を図りますとともに、事業効果の検証を行い、並行して第2期の総合戦略の策定に向けた準備も進めてまいりたいと考えております。
次に、自治体連携や圏域での行政運営のあり方、AI・RPA、ロボティックプロセスオートメーション、これはロボットを使った業務プロセスの自動化ということですが、この活用等についてお答えいたします。
まず、自治体連携や圏域での行政運営のあり方についてでございますが、国の審議会によりますと、地方の自治体においては、今後の人口減少に伴い税収等が減る一方、インフラや公共施設等の老朽化が進み、維持補修に多大な費用を要するなど、個々の市町村がそれぞれで全ての行政サービスを提供することが困難になることが指摘されております。このような中、本市では、近隣の16市町村と熊本連携中枢都市圏を形成しておりまして、複数の自治体と連携することで、事業効果の向上はもとより、事務の効率化や事業費の削減等を図るなど、圏域での行政運営の効率化に向けた取り組みも進めていくこととしております。
また、AI・RPAの活用につきましては、総務省の自治体戦略2040構想研究会の報告書で示されておりますとおり、AI、ロボティクスを駆使したスマート自治体を実現し、将来の労働力不足に対応した行政運営が求められていると認識しております。
本市のAI等の取り組みにつきましては、昨年度、スマート光タウン熊本プロジェクトにおいて、道路保全の観点からAIを活用した路面の画像解析による実証実験を行い、画像データの分析を行っているところでございます。
また、先月においては、窓口改革の取り組みの1つとして、転入手続の際、RPAを使って職員の手入力を代行し自動処理することで、より正確な手続や職員の業務軽減につながる実証実験を行ったところでございます。
さらには、職員一人一人の働き方についてAIが分析し、さらなる業務改善につながるよう、定期的に助言を行います生産性分析ツールであるマイアナリティクスを来年度から導入することとしております。
今後とも、熊本連携中枢都市圏構想の推進とともに、AI等業務効率化に資する最新状況の把握や、その実用化に向けて取り組むことで、生産性の高い自治体運営を目指してまいりたいと考えております。
〔47番 田尻将博議員 登壇〕
◆田尻将博 議員 しごと・ひと・
まち創生総合戦略でございますが、国が人口減少、いろいろな要素が今折り重なるようにこの地域にも来ているわけでございますが、まさかロボットが市役所の中で仕事をし始める。RPAもそうなんですよね。人口減少で労働者が少なくなってくれば、こういう機械を使おうという時代が来たんです。
道路も、今市長が答えられましたように、自動車で回って歩けば、どこが陥没しているか、どこが悪くなっているかというのが皆AIで機械が見ていくわけです。要するに、機械は文句を言わないんですよね。すればするほど、黙ってするんです。私も労働組合の出身でございますので、何か寂しくそういう感じを受けまして、何かそれに勝るものはないかと思いますけれども、後ほどでも幾つか質問の中に出てくるのが、やはり日本の人口減、労働者がどんどん不足していく。そして、それがもう作文をつくるたびに、頭の中を走り回っていくと文章ができ上がらないようになるんですよね。そういう思いをしごと・ひと・まち、格好いい言葉ではございますが、我々の目の前にそういうAI・RPAがもうどんどん押し寄せてきている。今テレビでも皆さんたち、家へ鍵一本で何やかんやで全部できてしまう。戻ったら風呂も沸いていると、そんな時代ですよね。僕は電力なんですけれども、もう検針員さんは要らないんですよね。やっぱりスーパーでメーターがつく。もう営業所の中でコンピューターが見るんですよ、検針に行かなくてもいいようになっている。こんな時代なんです。どっちがいいのかわかりませんけれども、ぜひそれに乗っていくような我々の体制もしていかなければいけないと、これをつくるときにしみじみ思いました。長い文章で難しい言葉ばかりでございましたが、一つ一つ実証していくと眠くなってしまいまして、こんな文章になりましたが、精いっぱい、これからの時代を皆さん方、今からでございますので、私は終わりますが、ぜひAIとRPAに向かって勉強していただきたいと思います。
それではもう1つ、
公共交通網の再編について。これも皆さん、この公共交通の話、もうきょうで私は5人目です。代表質問、そして一般質問も含めて、やはり
公共交通網というのがどうしても頭から離れていかないんですよね。要するに、これは古くても新しくても結論が出ない問題で、これも人口減にかかわる部分が幾つか出てまいりますので、御紹介したいと思います。
ちょうど平成3年、私がこの議場に席を得たころも、やはりバス網の話はあっておりました。バスに乗る人たちがどんどん少なくなってくるというようなことで、特にマイカーがどんどんふえてくる、単車がどんどんふえてくる。この
中心市街地はサラリーマンの駐車場がどんどんふえてくるような時代でございまして、そういうことで公共交通機関を利用する人たちがどんどん減ってきたという状況でございます。
そういう中で、当時の市の幹部の皆さんといろいろな話をしていると、「田尻さん、バスは市民の足ですけん、絶対なくなりはせんですばい」、そうなんですよね、私たちもそう思っておりました。やはり我々の生活の足は交通機関、バスなんですよね。だから民間はきつくても、市営バスが全部吸収しますからと、そんな話があっていた時代でもありました。
しかし、ここずっと28年間の交通局を眺めてみますと、大変なことがずっと起こってまいりまして、交通局のバスも廃止になり、むしろ都市バスができ上がりまして、都市バスがみんなするのかなと思っていましたら、やっぱり競合がそのまま走っているというような状態が今も続いております。そういう状況をふと振り返りますと、この都市圏のバス利用者、実は昭和50年度には1億137万人、平成29年度には2,561万人、4分の1に減少しており、バス事業の存続そのものが厳しい状況であると今日も言われております。
また現在、熊本市内は、先ほども言いましたように、バス会社4社が路線バスを運行し、市中心部では競合状態でございます。渋滞や時間のおくれを生み出しており、利用者はますます減少すると思われます。市中心部で渋滞や時間のおくれがあるなら、周辺地域では人口減少に、また少子高齢化が進み、買い物弱者、通院弱者と生活を維持するための最低の公営交通が課題であります。要するに、交通弱者対策が私どもは喫緊の交通政策と思います。利用者が減少すれば赤字路線となり、減便や存続有無が検討され、補助金かそれとも廃止するかの選択に迫られます。
対象路線では、交通弱者、交通難民がふえ、市民の足への影響は甚大であります。さきに述べましたように、公共交通は市民の生活の足であり、高齢者の交通事故が多発し、社会問題化しております。高齢者の免許更新も年々ハードルが高くなり、運転免許の自主返納もふえ、公共交通への依存度はますます高まってきています。そして、山間地や過疎化集落からの移動対策も、
中心市街地のバス網対策も同じレベルで検討していただきたいと思います。
市長はこの4年間、世界各地へ出張され、都市の交通政策に大変な興味をお持ちのようです。私もハイデルベルク、サンアントニオなどへ同行し、その姿を見させていただきました。市長は、公共交通の再編として、利用者のニーズに合ったバス路線に再編するため、事業者統合を実現したい。競合路線が整理され、便数が少ない路線の強化や、ニーズに合った新路線も開拓できると述べられています。
そこで市長に、公共交通の再編や交通弱者対策は自治体の責任であり、早急に取りまとめていただきたいと思います。
2番目に、西区には野口清水線や新町戸坂線など新しい道路が完成しつつあり、道路周辺に居住を構える市民は、新設道路が開通すれば、バスが走ると要望も多いわけでございます。ぜひ新しい道、新道へのバス路線の新設も検討していただきたいと思います。
3番目に、超スピードで
公共交通網の再編に対し、市長の決意をお聞かせください。
〔
大西一史市長 登壇〕
◎大西一史 市長 現在のバス交通は、議員にも御紹介いただいたとおり、利用者の減少が続きまして、運行路線の約8割が赤字となるなど、経営の悪化や乗務員不足などから現状のバス路線を維持することはもとより、将来的には路線バス事業そのものの存続が困難になると危惧しております。まずは、事業者が連携した
バス路線網の再編や運行の効率化が必要であると考えております。
このため、新年度、
バス事業者と県市が連携いたしまして、改めて利用者にとってわかりやすく利便性の高い
バス路線網の再編や、運行管理や経営等も含めた効率的な運行体制について検討いたしまして、将来にわたって持続可能なバス交通のあり方について整理してまいりたいと考えております。
また、買い物や通院等が不便な地域への対応についてでありますが、本市におけるコミュニティ交通につきましては、これまで主に公共交通空白、不便地域において、日常生活における移動手段の確保を図る観点から、既存のバス路線等と接続する形で導入を進めてまいりましたが、今後の超高齢社会に対応した新たなコミュニティ交通についても研究していく必要があると考えております。
次に、新設道路へのバス路線の新設についてでございますが、
バス事業者は、乗務員不足等から路線の新設や増便が難しい状況にありますため、新設道路への路線の新設につきましては、既存路線の利用実態や新設道路の開通による利用状況の変化など地域ニーズを見きわめながら、
バス路線網再編の中で検討してまいりたいと考えております。
最後に、
公共交通網の再編についてでございますが、今後の超高齢社会に対応していくには、公共交通の充実を含めた交通体系の最適化、いわゆる公共交通と
自動車交通の
ベストミックスの構築を図り、過度に自家用車に依存しない交通体系の実現を目指していかなければならないと考えております。
具体的には、基幹公共交通である市電延伸を初め、公共交通相互の乗りかえ利便性向上を図りますとともに、道路空間の再配分によります公共交通の定時性、速達性の向上、さらには郊外におけるパークアンドライド等の展開により、市民にできるだけ公共交通を選択していただけるような仕組みも検討しながら、地域特性に応じた公共交通と
自動車交通の最適化に取り組んでまいりたいと考えております。
〔47番 田尻将博議員 登壇〕
◆田尻将博 議員 ありがとうございました。
この交通網、交通の改革は、先ほども言いましたように古くて新しい課題であります。都市が便利になればなるほど、過疎の交通は過疎化になっていきます。過疎化が進むと限界集落がまたふえていくというように、どうも都市部だけが恩恵を受けるような感じを受けて仕方ありません。したがいまして、平均、平衡ある発展といいますか、これはウルトラCが必要ではないかと思いますが、なかなかいい案がありません。
先般、谷尾崎の梅林公園まで行くバスにアンケートが配られました。ぜひバスに乗ってくださいと。たまたま自治会長に「車で来とるけん、車で送ろうかな」と「いや、バスで帰るけん」こういう人たちが一人一人ふえていけば、もっともっと公共バスの利用がふえてくるんじゃなかろうか。私も5月以降は、なるべく公共バスに乗って新市街に出てこなければいけないなと思います。ぜひみんなが協力して、公共交通に乗るという運動も含めてしようじゃありませんか。それが、我々が考える、また執行部が考える
ベストミックスにつながっていくと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。
それでは、次の質問に移ります。今度は高齢者の問題に入ります。
我が会派の構成も、若いようで若くないんです。頭も見ればわかりますが、前期高齢者と予備軍ばかりでございまして、どこの会派も似たり寄ったりでございます。普通、議員の仲間が2人以上寄れば、病院の話と孫の話、これで盛り上がるんです。政策なんか何もありません。病院の話と孫の話、あそこが痛い、ここが痛いと、そんな話で盛り上がる平和な会派でございます。
私たちも、一歩一歩高齢者の坂道を上っていくわけでございます。次世代に残す夢のある政策の質問も大分考えましたが、多くの仲間がこれから経験する高齢者の仕事口、ひとり暮らしのみとり、墓じまいの合葬墓について質問しますので、近い方から一生懸命聞いていてください。
まず最初に、あすへの不安と仕事場の確保についてお尋ねいたします。
老後の生活設計と公的年金に関する世論調査の結果が発表されました。世論調査は、内閣府が18歳以上5,000名を個別面接方式、そして新聞社は全国の有権者から無作為に選んだ3,000人に郵送方式で実施され、ほぼ60%以上の回答が寄せられています。どういう質問かといいますと、何歳まで仕事をしたいか、したかの質問では、66歳以上を選んだ人が37.6%、4割近くいます。その理由は、経済的な事情を挙げる人が多かったようです。18歳以上の世代の質問に、何歳まで働くのがいいかと理想を聞くと、65歳が36%と、各年代でも65歳以下の現役引退が理想と答えています。
一方、生活のために現実に働かなければならないのは70歳までが多く、75歳、80歳以上を合わせても、半数が70歳まで働かざるを得ないと答えています。
老後の一番の不安を尋ねると、お金が最も多くて48%、次に病気やけがが37%、そして孤独が12%と回答し、30代の7割がお金と答えています。老後の生活資金として、公的年金で受け取る金が当てになるが43%、当てにならないが55%で、若年層ほど強い傾向がある。世論調査から、定年退職しても働きたいその理由は、健康のためであり、経済的にゆとりある生活を送りたい、生活費が足りないと思うが合わせて半数以上を占めています。
2017年の高齢者の就業者数807万人と過去最高を更新し、その約4割は70歳以上が占めており、急速な人手不足が進む日本では、社会にあいたすき間を高齢者が埋めているのが現状であります。高齢者が活躍できる社会を目指すべきだが、誰もが健康で働き続けられるわけではありません。生活にゆとりがなく、あすへの不安と背中合わせで生きている人たちも多いわけでございます。本市でも多くの高齢者が職場で働いています。政府も人生100年時代を旗印に、高齢者の就労を後押ししております。
本市での高齢者就業対策について、経済観光局長にお尋ねします。
〔平井英虎経済観光局長 登壇〕
◎平井英虎 経済観光局長 急速な少子高齢化が進展している中、本市におきましても労働力不足が深刻化しており、高齢者を含む多様な人材の活用や、将来へ向けて積極的に働ける環境づくりが重要であると認識しております。
現在、本市におきましては、高齢者等を積極的に採用する地元企業の就職情報サイトでの紹介や、年齢や性別に枠を設けない求職者全般に向けた合同就職面談会を今年度19回開催したところでございます。
また、昨年9月に本庁舎1階に設置しました高年齢者無料職業相談コーナーでは、高齢者の雇用、就業に関する相談を開始し、ハローワークへの引き継ぎも含めまして、これまでに93件の相談が寄せられ、高齢者人材の掘り起こしとマッチングの推進にも努めているところでございます。
今後も、時代のニーズに応じました施策の拡充に努めますとともに、より多くの高齢者が積極的に働ける環境づくりの推進に取り組んでまいります。
〔47番 田尻将博議員 登壇〕
◆田尻将博 議員 御承知のとおり、60歳を超えると極端に働く場がなくなり、ありません。どうしても若者が嫌う夜間や、そういうきついところのすき間で高齢者の皆さんが頑張っているのは現実であります。私の近所にも、先輩たちが朝帰りで「どこへ行きよるな」と聞くと、「きょうはマンションの管理に行ってきた」「きょうは駐車場の管理に行ってきた」というような返事が返ってきます。今、経済局長が答弁しましたように、高齢者の無料職業相談コーナーをどんどん活用しながら、また、ぜひPRをしてやっていただきたいなと思います。あれがいい、これがいい、資格があればもっといいわけでございますが、なかなかうまいぐあいにはマッチしませんが、そういうのも含めて相談コーナーをフルに使っていただきたいと思います。
次に、高齢者の諸問題のナンバーツーといたしまして、独居老人、ひとり暮らしのみとりについてお尋ねいたします。
近年、地方自治体を悩ませている問題の1つが、身寄りのない独居老人の増加であります。総務省の推計によれば、2035年には65歳以上の男性のうち16%、女性では実に23%が独居老人になるとのことであります。その際に深刻な政策が、彼らの医療・介護はもとよりのこと、人生の終末におけるみとりであります。自宅や病院で誰にもみとられることなく、たった1人で人生の幕引きを迎える老人が、これから爆発的にふえる可能性があります。看取り難民という言葉があるほどです。
人間は誰でも必ず迎える自己の死に当たっては、平穏な死、満足のいく死、幸せな死であってほしいと願うものであります。その切なる願いをいかにかなえられるのかは、本人のためだけではなく社会全体の問題であります。全く身寄りのない独居老人の場合には、病院や介護施設に入所していれば、医者や看護師あるいは介護施設職員にみとられても、自宅に1人で住んでいれば、誰にもみとられない可能性が高くなります。
ちなみに、身寄りのない独居老人が死亡した際には、法的には行旅死亡人として扱うことが定められています。行旅死亡人の場合には、自宅の整理、清掃や火葬、葬儀は自治体が行い、財産処分などを法務局長の許可のもとで自治体が行い、整理、清掃の経費を差し引いて残った財産の処分は、
家庭裁判所の手続により国庫に納めるとなっております。
このように、身寄りのない独居老人の死亡手続は明確なのですが、人の終末に当たり、余りにも形式的、手続的に流れていくのは悲しいとしか言いようがありません。身寄りのない独居老人のみとりの問題とは、人生を孤独のうちに終える老人が増加することの現実を社会はどう受けとめ、どう対処するべきなのかという倫理的かつ地域政策的な課題が私たちに突きつけられているということなのであります。
結局のところ、身寄りがなく自宅にいる独居老人が、誰にもみとられずに終末を迎えるという現実は余りにも悲しい話ではありますが、受け入れざるを得ません。せめて地域での民生委員や介護職員などが自宅への巡回を頻繁に行うことや、早目に独居老人の異常や死亡を確認すること、そして終末を迎えた後には、法律に沿った手続を進めていくことしか対応のしようがありません。
そこで、本市の身寄りがなく自宅にいる独居老人みとり対策はどうなっているのか、健康福祉局長にお尋ねします。
〔池田泰紀健康福祉局長 登壇〕
◎池田泰紀 健康福祉局長 独居高齢者のみとりについてお答え申し上げます。
独居の方を含めた高齢者への支援につきましては、日ごろから民生委員やささえりあによります地域での見守り活動として、定期訪問等を実施しているところでございます。また、熊本市社会福祉協議会では、地域福祉推進事業としまして、在宅の高齢者や障がい者等への自立的生活の助長や社会的孤立感の解消等を図るための給食サービス事業を実施いたしておりますほか、平成29年度から実施しております住宅確保要配慮者支援事業では、保証人がいない独居高齢者や障がい者、生活困窮者の方などの住宅支援としまして、入居時から入居後の見守り相談を初め、死後事務保証など退去時までの包括的かつ継続的な支援を行っているところでございます。
他都市の社会福祉協議会におきましては、生前の契約により直葬、納骨、家財処分、役所の手続等の死後事務を行う一方、遺言により亡くなられた後の財産を遺贈として寄附を受け、事業に活用している事例もございますことから、引き続き本市の社会福祉協議会も研究を進めているところでございまして、本市も連携してまいりたいと考えているところでございます。
〔47番 田尻将博議員 登壇〕
◆田尻将博 議員 このみとりというのを、私ながら、つくりながら考えますと、なかなかいい案が出てこなくてですね。というのは、うちの町内でもひとり暮らしの方が、年に1人ぐらいは情報が入ってまいります。新聞受けがいっぱいになって、どうも旅行はしていないようだがというようなことで、警察なり親戚に連絡して開けてみたら、お風呂で倒れていたとか、そういうのが身近にありまして、何とかそれならば民生委員さんにお願いしようかというと、民生委員さんも実はいっぱい仕事を持っておられます。我々がなったころは「何もなかけん、民生委員になんなっせ」というのが普通の挨拶言葉でしたが、今では、なりたくないものが先行くとですよね。余りにも多過ぎて、何から何までしていいかわからないということで、もう数年前ですが、民生委員の冊子を担当局がつくってくれました。あれを見ましたら、こんなこともする仕事なのかというような仕事がいっぱいです。そしていろいろなことがあったら、民生委員さんの印鑑なり民生委員さんの立ち会いが必要なんですね。これが今の現状でございまして、このみとり、今から先、独居老人、先ほどのデータから見てもひとり暮らしが多くなってくることは事実でございますので、そこで私がいつも言うのは、向こう三軒両隣、これをしなければいけない。「しょうゆが足らんけん、貸しなっせ」「塩が足らんけん、貸しなっせ」、これは向こう三軒両隣の信頼ある家同士しかできないんです。隣同士で境もめばかりしていたんではみそは貸さない。だからやはり仲よくすることが、みとりを解決するベストじゃなかろうかと思います。私の家は常に向こう三軒両隣で頑張っておりますので、どうか市長の家もそういうふうにしてください。野菜が残ったらすぐ持っていくとか、どうせやるなら腐る前にやった方がいい。賞味期限のぎりぎりはやってはいけないですよ。やっぱりそれは自分が食べてから。そういう楽しい我々の地域をつくることが、こういうみとりの解決策になるんじゃなかろうかと思います。
みとりが終わりましたら、墓の話をさせていただきます。公営墓地の合葬墓についてお伺いいたします。
揺りかごから墓場まで、この名文句は20世紀半ばにイギリス労働党の社会福祉政策のスローガンで、生まれてから死ぬまで安定した生活を保障する政策で、福祉国家を目指してきましたが、やはり破綻したそうでございます。貴重なこの名文句が今もサンプルとしていろいろなところで生かされております。
私たちの一生も出生届から死亡届まで、生涯にわたって自治体との縁は切れません。行旅死亡人、行き当たりばったりで死んで身元がわからない人です。漢字は行旅死亡人と書きますけれども、これ以外は、家族がみとり埋葬するのが一般的であります。町内の私のすぐお隣もお寺でございまして、その墓地の無縁墓地がきれいに整理されまして、新たな墓地分譲をやりましょうというようなことで、今スタートを切ってやっておりまして、その中型墓地といいますか、1平米のコンパクトな墓地が物すごく売れるんです。小さな墓地です。今はもうちょっと細かいものをいこうじゃないかということで、今準備をされております。
そういうときに無縁墓地が出てまいりましたので、ちょっとした合葬墓というものを住職がおつくりになられました。そうしたら各地区から、墓じまいをするからそこへ入れさせてもらえないですかという相談が市内外から舞い込んできました。ええっ、そんなことがあるのだろうかということで、墓じまいって世の中にあるんだろうかというふうに思いましたら、いろいろな新聞に載ったりデータを見ましたら、本当に今墓じまいというのは、この言葉がどんどん走っております。合葬墓、遺骨をそこにお願いするわけでございます。
いろいろなところで、ほかの自治体では、複数の人の遺骨を一緒に納める公営の合葬墓が大都市では急増しているそうでございまして、これはある新聞社の調査では、東京都と20
政令指定都市のうち、都と12指定都市が公営墓地に合葬墓を設け、3指定都市が新たにつくり、名古屋市も新設を検討中であると記事が載っておりました。この現象は、墓の無縁化を懸念する人がふえていることが背景にあり、合葬墓がある自治体では申し込みが殺到しているそうでございます。特に夫婦向けの生前予約の競争率が50倍、そして6割近くは生前に予約というようなデータがありました。
合葬墓が急速に広がる背景にあるのは2025年問題、団塊の世代です。ここにも何人かいらっしゃいます。ことし69歳以上の方です。私は68歳でございますので、一応外れますが、75歳以上になる年でありますと、国立社会保障・人口問題研究所の推計では、1975年と比較すると、高齢化率は7.9%から2025年には30%に上昇、70万人だった日本人の年間死亡者も倍増すると予想され、一方では、世帯の構成人数は減り、2025年は総世帯に占めるひとり世帯が37%、夫婦のみの世帯が21%になる見通しだそうでございます。2016年に合葬墓を申し込む人たちは、子供と別居し墓を継ぐ家族がいない、将来を考えて申し込みたい、一軒家があっても継ぐ家族がいないと空き家になる、墓も同じ、合葬墓なら自治体が供養してくれる。すなわち、墓じまいを決めたという記事でございました。
昨年の夏、合葬墓を新設した神戸市。市民約700人にアンケートをしたところ、墓のある人の4分の1が継承者がいない、跡継ぎがいないということです。子供や孫に負担させたくないとして、墓じまいを考えていたそうです。福岡市は2021年に3万6,000体を納める初の合葬墓をつくる。市によると、市営墓地に墓のある人の3割は墓の跡継ぎがいなかったというふうに言われています。管理されずに墓が無縁化するおそれがあると指摘されています。
核家族を形づくってきた団塊世代が高齢化し、墓のあり方が問い直される時代に突入しました。この世代は子供と別居しているケースが多く、家族で墓を守るのは確実に弱まっていると言われています。本市でも同じような傾向と思います。
公営墓地での合葬墓の広がりは、他人と一緒に祭られることへの抵抗感より、価格、管理面で自治体が運営する方が安心と考える人がふえてきています。未婚者や子供がいない夫婦も増加しており、家の墓を維持するのはますます難しくなるだろうと言われています。本市の合葬墓への取り組みについてお聞きします。
まず最初に、合葬墓について検討したら、検討の経過と結果をお聞きしたいと思います。
2番目に、将来の取り組みについて、健康福祉局長にお尋ねいたします。
〔池田泰紀健康福祉局長 登壇〕
◎池田泰紀 健康福祉局長 公営墓地の合葬墓の取り組みについてお答え申し上げます。
本市では、熊本市墓地等の設置等に関する条例におきまして、墓地の経営の資格を地方公共団体のほか宗教法人等と定めているところでございます。
このような中、本市は市内7墓地の運営を行っておりますが、現状といたしましては、桃尾墓園貸付事業におきまして約580区画が貸し付け可能なほか、無縁墓地の改葬に着手予定であるなど、通常墓地の整備を進めているところでございまして、現時点におきましては、合葬墓の検討を行っているところではございません。しかしながら、ただいま議員が御紹介されました墓地の承継者がいない、子供に負担をかけたくないなどのニーズも踏まえまして、他都市の状況を参考に研究してまいりたいと考えております。
〔47番 田尻将博議員 登壇〕
◆田尻将博 議員 みとりとか公営墓地の話になってくると、ここの議題で、私も経験ありませんけれども、なかったような感じがして、なかなか回答する執行部も、はい、ではあしたからつくりますからと、そんなうまいぐあいにはいかないと思いますけれども、先ほど局長がおっしゃったように、継承がいない、どんどん無縁化していきますと、その辺の環境も悪くなるわけでございますので、一般の方々がこれだけ、日本人でありますので、どうしても我が家の墓というのは、うちも山の中にあるんですけれども、やはり守っていくというのは親代々から教わってきております。
しかし、時代が時代です。人口が減少し高齢化していくと、車で行ける墓地でなければもう行けないと。近所のおばさんが言うのはこうなんです。うちのおふくろは94歳ですけれども、週に2回おやじに会いに墓へ行っていますけれども、やはり足がしっかりしておけば、その墓も維持していけるわけでございますが、どうかその辺も含めて、交通対策ではございませんが、何でもかんでも一緒にするといけませんが、ぜひ合葬墓も含めて研究していただきたい。すぐにつくれとは言いませんから、よろしくお願いします。そのころは私ももういないかもしれませんけれども、難しい質問ばかりで申しわけございません。
今はやりの、今度は外国人の労働者についてです。労働者がどんどん来ておりますので。皆さんも御承知のとおり、スーパーマーケットとか下通、上通を歩いていただきますと外国人を見かけますよね。ここはどこだろうかと思うように外国人がいます。熊本でそうなんですよ。ということは、大都市では、ラーメン屋は全部外国人が運営しているとか、そういうところがたくさんあります。いろいろなところに外国人がお見えになって、我々の仕事のお手伝いをされているというのを見かける今日でございます。
特に観光地では、この前、日光に行きましたところが、日本人は私と家内だけじゃなかったかと思うくらい、周りは、顔は余り変わらないけれども、しゃべっていらっしゃる内容が全然私に通じない言葉ですので、この人はあっちの方だなというふうな考えで、やはり外国人ばかりでございました。
今は、八代港から爆買いなんかも昔はありましたけれども、大変な地域の経済効果があったとお聞きしております。そういう中で、昨年12月8日には改正出入国管理法が実は通りましたが、私ども市民連合はいろいろ各地で問題になっている外国人技能実習生の劣悪な労働環境や人権侵害、不明のまま成立されましたので、意見書を提出して廃止を求めたわけでございますが、今回はもう通りまして、どんどん押し寄せる外国人労働者について、技能実習生の実態についてお尋ねしたいと思います。
日本で働く外国人の数は、昨年10月末時点で146万463人、1年前と比べて約18万人増で14.2%ふえており、6年連続で過去最多を更新しています。外国人労働者は、人手不足に悩む企業の積極的な活用が続いており、この5年間で倍増しており、4月からは外国人労働者の受け入れ拡大を目指す新たな残留資格も導入され、今後も増加が続くと見られます。
残留資格別で最も多いのは、永住権を持つ人や日本人と結婚した人など永住者が49万5,000人で8%の増加となっております。アルバイトをする留学生などの資格外活動が34万3,000人で、15.7%増加しています。外国人技能者が30万8,000人で19.7%増加しています。
外国人の就労業種は、特定活動の建設業が35.6%、製造業が29.7%、サービス業が15.8%、卸・小売業が12.7%、宿泊業・飲食サービス業が12.7%を占めており、国籍別では中国が38万9,000人で26.6%を占め、伸び率は4.5%、ベトナムが31.9%、インドネシアが21.7%増、ネパールが18.0%増、その結果、技能実習や資格外活動、すなわちアルバイトをする留学生の働く人が多いわけでございます。
県内の状況は、県内事業所が外国人を雇用する際にハローワークに届け出る情報をもとに集計されています。県内の外国人労働者は1万155人で、昨年より2,412人増の伸び率も過去最高で、国籍別ではベトナムが4割強を占め、中国、フィリピンが続き、産業別では農林業が多くなっております。
増加の背景は、政府が推し進める留学生などの受け入れが進んだことや雇用情勢の改善、永住者や日本人の配偶者の就労がふえ、最大の要因として技能実習生の増加が挙げられ、技能実習生は6,295人、昨年同期から1,768人ふえています。県内での外国人労働者の受け入れは、産業別に管理団体が受け入れし、国の機関の熊本労働局が管理しております。外国人労働者は、私たちと一緒に地域でともに生活している状況であります。
政府がまとめた外国人との共生社会実現のための総合的対応策も、実現が難しい項目が並び、ちなみにその予算は30年度補正を含めて211億円がつけられています。
日本で子育てする世帯向けの支援策として、市町村や保健所窓口で外国語での情報提供が可能となる対応や、通訳の配置や外国語での説明をするためのタブレット端末を導入した市町村に補助金を上乗せしたいと説明しています。
ただ国は、市町村の現状の取り組みは把握しておらず、制度設計の検討はこれからであります。多くの外国人労働者を受け入れてきた浜松市では、市主催の日本語講座の講師は約70人全員がボランティア。政府は日本語教師のスキルを証明する資格を創設するが、ボランティアがどう扱われるかは見通せていません。浜松市長は、これを機に国として共生環境を整えておかないと、いずれ外国人に選ばれない国になってしまうと危機感を募らせています。
以上、人口減少化の我が国においては、外国人労働者の存在は我が国の経済を維持するために必要な手段であり、外国人労働者から選ばれる国にしなければならないと思います。そこで、本市は外国人労働者に対して、自治体としての就労外国人の把握、日本語講座、市税徴収、健康保険、市営住宅への入居など、生活に必要な手続があると思われます。本市へのかかわりについて、政策局長にお尋ねいたします。
〔
古庄修治政策局長 登壇〕
◎古庄修治 政策局長 外国人労働者の受け入れに関する御質問にお答え申し上げます。
議員御案内のとおり、本市に住む外国人の数は年々増加しておりまして、現在約6,000人となっております。在留資格で見ますと、就労目的が最も多く、近年の技能実習生の著しい増加に伴い、ベトナムやインドネシアなど東南アジアからの外国人が増加しているのが特徴でございます。
また、熊本労働局の発表によりますと、昨年10月末時点での本市と上益城を合わせた熊本職業安定所管内の外国人労働者数は、技能実習生を含み3,396人で、前年比約30%の増加となっておりまして、本市においても外国人人材の活用が進んでいることがうかがえるところでございます。
このような中、本市におきましては、在住外国人等への支援の拠点であります熊本市国際交流会館を中心に、多言語によります生活相談や生活情報の提供を初め、日本語習得の支援、防災対応など生活全般について支援しております。
また、昨年3月に策定しました熊本市国際戦略におきましては、外国人も日本人も地域社会の構成員としてともに生きていくという多文化共生社会の推進を基本施策の1つに掲げ、地域の国際化に取り組んでいるところでございます。
そこで、今回の改正入管難民法の施行を機会に、本市においても改めて外国人を取り巻く現状や課題の洗い出しを行うとともに、今後の取り組みについて、現在全庁的に検討を行っているところでございます。その中では、種々の手続を行う窓口や相談体制、加えて受け入れを行う事業所や団体との連携等についても検討していく必要があると考えています。
今後ますます外国人住民が増加しまして、また国籍や言語の多様化が見込まれる中で、国の動向や詳細な情報を注視しますとともに、国の機関や熊本県、関係団体等とも協調、連携しながら、本市の実情に合った取り組みの導入や外国人受け入れ機能の拡大、強化など、さらなる支援の充実に取り組んでまいりたいと考えております。
〔47番 田尻将博議員 登壇〕
◆田尻将博 議員 ありがとうございました。これからインターナショナル、外国人もたくさん来ていただくような熊本市にしなければならないと思います。
今、日本に働く外国人の数が昨年10月には146万463人と先ほど述べましたが、よく考えますと熊本県の人口と余り変わらないんです。その熊本県の人口と変わらない人たちの労働者がもう日本に来ているんですね。だから、先ほど局長がおっしゃったように、技能を含み現在約6,000人の方々が市内にいらっしゃるわけで、そのうちの3,400人近くは技能実習をやっておられる。だから、どこででも会うんですよね。そういうふうな今熊本市でございまして、国際戦略、多文化共生社会、どんどん進めていかねばならないような時代に来ているというのは確かだろうと思います。ぜひ外国人の受け入れも含めて、また、熊本に来てよかった、先ほどから上質の問題を大分言いましたので、外国人からも上質を認められるような熊本にしていただきたいなと思います。これも今からの大きな課題でございます。
それでは、時間もまだたくさんありますが、最後に行きたいと思います。
実は、伝統工芸の話を私も聞いていきますので、余り難しい話だと、ああしろ、こうしろと言っても恐らくされないだろうと思いますので、全然違う方向で話をさせていただこうと思って1つつくったのが、消えていく伝統工芸を支援してくださいというような項目でつくってみました。
実は地域には神社や里地里山、また鎮守の杜、子供のにぎわいが消えて、里山は先ほども言いましたようにイノシシが出没するような時代になりました。その対策も喫緊ではありますが、私どももそこで生まれて、そこに育っておりますので、何とか里山を保全しようということで、仲間と一緒に進入、孟宗竹とか伐採の活動をやって、新しい道をつくっているような活動もやっております。きょうはそういう里山里地も大切ですが、伝統工芸についてお尋ねしたいと思います。というのは、後でちょっと述べますけれども、ふるさと納税でちょうど2年前に私質問したときに、ふるさと納税をやったときに、みんな工芸品はやられておりました。感激して、肉よりもそういうものの方が、まあ肉がいいんだけれども、そういうのをやっておられると記憶にありましたので、こういう文章をやってみました。
特に日本各地に江戸時代から続く伝統工芸が数多く存在しており、日本のものづくり文化の基礎を形成してきたものであります。高度な職人技である伝統工芸が存在してきたからこそ、日本の工業が発展をなし得たと言っても過言ではありません。ところが、それが消えようとしています。伝統工芸の消滅とその保護の必要性は、昭和の時代から語られていましたが、もはや空前のともしびであります。
伝統工芸が消えていく要因を予想すれば、1つは後継者不足であります。それは収入が少ない反面、つらい労働であれば、若い人たちが継承することも難しい一因です。
第2に、需要と供給のミスマッチであります。どのようにすぐれた工芸品であっても、価格が高ければ購入が敬遠されます。
第3に、日本の伝統工芸品の原材料は国産に頼っており、それらの原材料の生産が衰退すれば、工芸品の生産を維持できなくなります。